子どもにフルサイズのコートは必要か? その1

その昔、子どもにテニスをさせるとき、ラケットもボールも子ども用のものはなかった。今はいろんなサイズのラケットが店頭にあり、ボールもスポンジ製や柔らかいフェルトのボールまである。

これらの子ども用に作られたラケットやボールについて、どのように考えるべきだろうか。ひょっとすると、そんな疑問を持つコーチや親御さんがいるのではないかと思い、この記事を書くことにした。

すでに試合にも出ている、優勝の経験もある、というジュニアの関係者にも、ぜひ見ていただければ幸いだ。




このビデオは先日の日本テニス協会のコーチャーズカンファレンス及び、特別指導者講習会にてPlay&StayのプログラムがITFの指導のもとに紹介されたもの。Jorge Capestanyというティーチングプロが『8歳前後のジュニアに、フルサイズのコートとレギュラーボールを使ったテニスと、幅約5メートル、ネットからベースラインまで約5.5メートルのサイズのコートとフォームボール(スポンジボール)を使ったテニスを比べ、検証しているもの』である。

ざっと訳してみた。

<二人の子がフルコートでボールを打ち合っているシーン>
・この映像はフルコートで、レギュラーボールを使い、27インチのラケットを使っているシーン。
・フルコートやボールはフェデラーなどのプロが使っているコートと全く同じものである。
・見た感じでは、大きなミスを感じられず、打ち合っている、ラリーが続いているからOKと思うかもしれない。だが、一人の子どもにフォーカスしてみよう。

<男の子にフォーカス>
・このポイントは先ほどと同じポイントでの映像である。
・この子は8歳の子
・よく見ると、打球時にボールに押し出されているのがわかる。それは、適切な位置で打てていないためと、ボールが重すぎるからである
・そのため、バランスが崩れ、正しい動作を覚えることに必ずしもプラスとなっていない

<36フィートのミニコートでのテニスのシーン>
・36フィートでフォームボール、23インチのラケットを使用している
・フルコートにくらべ、コート内を動き回っているのがわかる
・ゲームになっていることがわかる、すなはち、相手を動かし、コートをカバー・リカバーをしている
・ネットに出ることも小さなコートならできる。ダイビングボレーも。
・フルコートよりラリーが長く続いているのがわかる。

<並んでいるシーン>
・並んでみると、体格の差が歴然である。にもかかわらず、同じ規格でテニスをすることは現状や将来にとってプラスか?

<横からフォアハンドを比べた映像>
・フルコートでレギュラーボールを打つ時には高い打点となる。
・36フィートのコートでフォームボールを打つ時はストライクゾーン(適切な打点)で打球。
・かまえまではほぼ同じ。だが、その後の動きに歴然とした差がある。

<クロージング>
・高い打点で打つことは、フルウェスタングリップを覚えることになり、現代のテニスにおいては、将来的にプレーを限定することにつながる可能性がある
・小さなコートなら、早いうちにゲームの中でネットプレーにも親しめたりと、成長段階としてもプラスになる

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クイックスタートテニス、というようだが、基本的な考え自体は、どの国でも言われているであろう、基礎を大切に、ということだと思う。もともとこのミニコートでのテニスは、スウェーデンで生まれたショートテニスと言うスポンジボールを使ったミニテニスが発端であると、ショートテニスを20年前に日本に持ち込み、普及に尽力されてきた正木さんもおっしゃっていた。

そのおかげもあり、日本でもミニコートでのテニスの指導は幼少児を中心に行われてきた。しかし、スポーツが、どちらかというと"娯楽"の一部として捉えられる日本においては、テニスというフルコートでレギュラーボールを使うもののみが、"真剣勝負"であり、上達著しい子どもは早い段階で、その"真剣勝負"のテニスの練習が一番の近道と信じる親や指導者の意向も手伝って、最終段階のレギュラーサイズテニスにつかることになるのだろう。

『成長期には様々な身体能力を伸ばすことが大切である。そのためには、様々な運動を行うことが必要だ。』そんなことは多くの指導者や親御さんはご存じであろう。だから、練習メニューには様々なトレーニング的なことも取り入れる。しかし、肝心なボールを打ち合うテニスというゲームにおいて、その能力を伸ばすことは考えられないだろうか。



なぜジュニア期に勝てるのに、オープンになると日本人選手は勝てないのか。



そのジレンマと、この問題・・・僕には、無関係とは思えない。



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この記事へのコメント
今ワールドカップが盛り上がっていますね!

この問題は選手だけではなく、コーチにも問題があると思います。

日本では『コーチ=先生』すなわち指導者というのが当たり前な所があります。

実際イチローにも
5人にコーチが居るようです。

ここで日本との違いは『コーチは答えを教えない』という点です。

選手が自ら考え、自ら判断し決断しています。

大村さんは海外に居たから分ると思いますが、日本人はコーチ就かれる事に抵抗を覚える人がまだ多いです。

選手に対してコーチングの技術が必要になってくると思います。

そして、選手自身もセルフコーチングを大事になって来るでしょう。

【なぜジュニア期に勝てるのに、オープンになると日本人選手は勝てないのか。】

ジュニア時代の目標設定がでも良いと思います。


【そのジレンマと、この問題・・・僕には、無関係とは思えない。】

しかし、オープンでジュニアのナンバー1のままではマズいです。

新たなゴール設定が必要になります。

本気なら親元を離れる行動にも出れると思います。
Posted by Miya at 2010年06月16日 15:53
>Miyaさん

コメントThanx!

コーチングが有効になるよう、現場では意識してやっています。

日本人は決してテニスが弱いわけではない。

そのことをいつか証明できるよう、がんばります^^
Posted by リューコーチ at 2010年06月18日 21:44
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